住宅探し“Home-Finding”

外国人に対して住宅を探す際の質問事項

1. 氏名・年齢
2. 勤務地
3. 契約者(どちらの法人・部署か)
4. バジェット
5. 赴任予定日
6. 赴任予定期間
7. 下見予定日
8. 家族構成 お子さんの事情
9. 電化製品の購入あるいはリースのサポートが必要かどうか
10.家具の購入あるいはリースのサポートが必要かどうか
11.自動車の購入あるいはリースのサポートが必要かどうか
12.携帯電話・インターネット・スカパー・電気・ガス・水道・NTTはどのような形で支払いをする予定か
13.その他特別な事情あるいは要望

これらの質問から実務が始まるわけだが、難しいポイントは、この時点で3つの顔を意識するということだ。

それは、①外国人顧客 ②依頼者である企業の担当者 ③物件を提供してくれる業者

前提としてお金を払う企業が依頼者でありお客さんだが、その依頼に堅苦しく従うと、外国人顧客・業者から評価されずに、結果として企業担当者にも嫌われる。

 

①外国人顧客に対する姿勢

表面的に、あるいは当然のこととして、
顧客からフィーを頂く場合、
我々はその顧客の要望に従う。

しかし実務上、
サプライヤーである不動産業者、家主さん、
等とのお付き合いのほうがはるかに長く、
彼らからフィーを頂戴していないとしても、
いい物件を提供していただいていたり、
無理を聞いてもらったり、
非常に大事に、そして丁寧なお付き合いを要する。

顧客の要望を強くサプライヤーにぶつけることは、
その後の商売に悪影響を与えることさえある。

このようなバックグラウンドにある我々のような立場の者は、
時として顧客からの要望を
『いかに聞かないようにするか』
という間違った技術を会得している人を多く見かける。ここが問題だ。

「いやあそれはちょっとできません」
「ルールですから」
「前も同じことがあって業者から断られたのです」

等、顧客のために(顧客サイドで)仕事を進めている姿勢を見せないのは、
『あなたからお金は頂かなくて結構です』
と言っているようなものだ。

業者に何をどこまでお願いするかは後で工夫するとして、
顧客から何らかの要望を聞いているときは、
「やってみましょう」
という姿勢を常に見せるべきだと思う。

 

②依頼者である企業の担当者に対する姿勢

この姿勢を作るのが一番難しい。同業他社でここを間違えて取引停止になったケースをよく聞く。

まず依頼主で支払い主であることを肝に銘じる。
外国人顧客は当事者ではあるが、彼は『依頼』『支払い』の決定権者ではない。

この違いをまず知る必要がある。
そしてそれを十分承知している雰囲気が、企業の担当者に伝わっていないければならない。
【あ、この人は“わかっているな”】という感じで。

その上で実践である。
現場では企業の担当者の要望に沿うことで、問題になることが多々ある。

要望に沿うことで、外国人赴任者の満足を得られないばかりではなく、
巡り巡って、企業の担当者に問題が届くのだ。

現場では何が最善かを常に考え、
企業の担当者の要望に背くようなアクションに発展する場合は、それ自体の責任を一手に引き受けたほうがよい。
(途中で企業の担当者に相談できる場合はその限りではないが、相談できない状況が多い)

その件で100%の謝罪をしても、
結果として別の問題を回避できたという事実が残るようにすれば、決して責められることはない。

ただし、
『別の問題を回避するために、こうするより仕方がなかったのですよ』
というニュアンスでは信頼を欠く。

冷静に、低姿勢に、
自己責任、謝罪、根拠と結果が、適切な順序で担当者に伝わらなければならない。

 

③物件を提供してくれる業者に対する姿勢

外国人特有(あるいは外資系企業特有)の要望を聞いたことがない業者さんは特に、その要望を最初から100%伝えてしまうと、仕事にならない。

伝える我々が、外国人(宇宙人)扱いされる。

我々は業者に対しては、顧客側になるが、
それをむしろ業者側に立ってコミュニケーションをとると、うまくいく。

要望の内容をタイミングよく伝える。
このような交渉は困難なことを承知の上で、『どこまでできるか?』という可能性としての交渉にトライしてもらう。

そのようにして、
より多くの業者と協力関係を持つことで、
結果として、外国人顧客により良い多くの物件を提供できることになる。

外国人と話すときに『何でも任せておけ』という雰囲気を保ちながら、
業者に対しては、『だめだと思うが、少しでも良い答えを』という控えめな態度で臨むのは、
非常に根気がいるが、工夫すればできるようになる。


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